アトリエ「館」

長野県伊那市美原7448-317

木造2階建て

延床面積 238.13㎡(71.90坪)

建物用途 土蔵 → 事務所建築(用途変更)

「アトリエ館」 2008年 第8回長野県建築文化賞 一般の部 奨励賞 受賞

建築雑誌「現代日本の建築 Vol2」2006年発刊 掲載

 

 

設計のポイント

 館 設計工房の事務所は2005年11月に建築しました。元々、旧四賀村(現在松本市)に建っていた土蔵です。道路拡幅のため解体され、処分されようとしていた建物でした。瓦、古材、基礎石などを移築してリノベ-ションした建物です。古材を組み立てるため調査した時に分かったことですが、元々の土蔵は約半分ぐらいの小さな土蔵だったようです。そこに増築して出入り口を変えトイレを増築し座敷として使っていた形跡が有りました。棟木には建築年と棟梁の名前が残っていましたが、それは増築した時の物で新築時期は不明でした。                  

 昔の建物は、このように活用できるものは使って建てました。現在はどうでしょう?口ではエコを言いつつも使えるものを使わずしてゴミにしていませんか?どんどんこのような土蔵や古民家が壊されています。最近では戦後建てられた近代建築ですらも簡単に解体されています。本当にこれで良いのでしょうか?

 

 本体は土蔵(木造)+ 風除け室は鉄骨(S造)という構成、何故木造と鉄骨造なのか?過去と現代の融合と考えたのです。民家再生とは、最近ブ-ムのように古民家と言われ日本の原風景を残さなければならない。という方が多くなってきました。確かに古い物を残すというのは大賛成です。しかし、雰囲気だけとか、なんとなく懐かしさ、などと一時的なブームで残すのはいかがなものかと考えます。また、古い物をそのまま残せば良いと言うことでもない。そもそも博物館の様な用途であればそれはオリジナルのまま残さなければならないと思います。

 しかし、民家は「暮らし」という行為が有ります。「居心地」とか「快適性」、「やすらぎ」など住まい手の心のケアができるような建築になっていなければなりません。昔ながらの劣悪な住環境に耐え暮らす。というのは酷なことです。上辺だけでなく内面も豊かな建築でなければなりません。昔の良さを残し不便さを解消してより良い建築に生まれ変わることが本当のリノベ-ション、民家再生なのではないでしょうか?

 


アトリエ『館』のオリジナル家具  家具の大切さ

 玄関を入ると薪スト-ブの前に打ち合わせテ-ブル(6人掛け)がある。お客様にゆっくりして欲しいからです。良い設計をするには施主と設計者の信頼関係が確立できるかが大きなポイントになる。本音で夢を語り、本音で答えられる関係が最も重要である。そのための空間づくりの一つとして薪スト-ブと栗の木で作ったテ-ブルが必要だったのです。